現在、ひとり親世帯は全国で141.9万世帯いらっしゃいます。この数は年々増加傾向にあります。また、コロナ禍において失業してしまった方も多数いらっしゃいます。働きたいけど働けていない人を応援したい、そんな経営者様が活用しやすい助成金が「トライアル雇用助成金」です。この記事では、ひとり親世帯の現状とコロナ禍で失業した方の総数、今後の採用の考察、そしてトライアル雇用助成金の内容についての解説を行います。ぜひ最後までご覧ください。
最後まで見てもよくわからなかった方はお問い合わせフォームからご質問していただくか、弊社HPより直接お伺いください。
ひとり親世帯の現状
下記の表は厚生労働省が発表した平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果です。
1983年(昭和58年)から2016年(平成28年)までのひとり親家庭の世帯数をまとめたものです。

ひとり親家庭は全体の割合としては多くはないかもしれません。しかし、この数字では、実態を語ることはできません。
なぜなら、この数字は推計であり、実態とかけ離れている可能性があるからです。
世の中には、親世帯に同居しながらひとり親が仕事をしながら子育てを行っているケースがあるからです。
このケースは、一般世帯として数えられるため、上記の表よりも母子世帯・父子世帯の数は多いと予想されます。
また、多様な条件によって勤労することができない方や、そもそも勤労する意思がない方もいらっしゃいますが、子どものために一生懸命働こうとしている人が大部分だと考えられます。
経営者の方々は、このような一生懸命働こうとしている方々を採用されることと存じます。
コロナ禍での完全失業率
完全失業率とは、労働力人口(15歳以上の働く意欲のある人)のうち、完全失業者(職がなく、求職活動をしている人)が占める割合で、雇用情勢を示す重要指標のひとつです。総務省が「労働力調査」で毎月発表しています。完全失業者数を労働力人口で割って算出し、数値が高いほど仕事を探している人が多いことを示します。

上のグラフは2017年から2021年11月までの完全失業率の推移を表したものです。
コロナ禍が始まってから男女ともに失業者が増えているのがわかります。
中には、今まで活躍していた業界とは違う業界でも働けるなら働きたいと思っている優秀な方も多数いらっしゃるでしょう。
失業率が上がるということは、優秀な方が働き口を探しているという可能性も上がるということになります。
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース) 概要
今まで経験したことのない職種にお試しで3か月間施行雇用することで能力を見極め、期間の定めのない雇用への移行を目指すことで雇用の機会を創出する。このようなことを行う企業を助成するための助成金が「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)」です。
最大の目的は、雇用機会の創出と雇用のミスマッチを防ぐことです。
ただし、ハローワークや 職業紹介事業者(※)等の紹介 を受けることが前提となります。
※厚生労働大臣の許可を受けた有料・無料職業紹介事業者、届出を行った無料職業紹介事業者、または無料船員職業紹介事業者(船員として雇い入れる場合)のうち、本奨励金に係る取扱いを行うに当たって、厚生労 働省職業安定局長及び人材開発統括官の定める項目のいずれにも同意する旨の届出を労働局長に提出し、雇用関係助成金に係る取扱いを行う旨を示す標識の交付を受け、これを事業所内に掲げる職業紹介事業者
トライアル雇用のメリット
労働者から見たトライアル雇用のメリットは
労働者から見たトライアル雇用のメリットは大きく2点あります。
- 希望する仕事に就ける可能性や就職の機会が増える
- 労働者と会社がお互いを理解した上で無期雇用へ移行するため、安心して仕事を行うことができる。
➡職場の雰囲気や業務内容の体験ができる
※無期雇用=契約期間の定めがない雇用形態。スキルアップや長期的なキャリア形成を行うことができる。
経営者から見たトライアル雇用のメリット
経営者から見たトライアル雇用のメリットは大きく3点あります。
- 使用期間があるので、採用に至らないときは必然的に解雇扱いになる
➡任期満了後の契約解除が簡単 - ミスマッチの少ない採用活動ができる
➡採用コストが減り、教育に力を入れることができる - 助成金を活用することができる
対象労働者と受給するための要件
受給するためには、次の要件のいずれも満たすことが必要です。
(1) 対象労働者がハローワーク、地方運輸局(船員となる場合)または職業紹介事業者(以下「ハローワーク・紹介事業者等」という。)の職業紹介の日(以下「紹介日」という。)において、次のイ~ニのいずれにも該当しない者であること。
イ 安定した職業に就いている者
ロ 自ら事業を営んでいる者又は役員に就いている者であって、1週間当たりの実働時間が 30 時間以上の者
ハ 学校に在籍している者( 在籍している学校を卒業する日の属する年度の1月1日を経過している者であって卒業後の就職内定がないものは除く。)
ニ トライアル雇用期間中の者
(2) 次のイ~ヘのいずれかに該当する者
イ 紹介日前2年以内に、2回以上離職又は転職を繰り返している者
ロ 紹介日前において離職している期間が1年を超えている者
ハ 妊娠、出産又は育児を理由として離職した者であって、紹介日前において安定した職業に就いていない期間(離職前の期間は含めない。)が1年を超えているもの
ニ 紹介日において、ニートやフリーター等で55歳未満である者
ホ 紹介日において就職支援に当たって特別の配慮を有する次のa~iまでのいずれかに該当する者
a 生活保護受給者
b 母子家庭の母等
c 父子家庭の父
d 日雇労働者
e 季節労働者
f 中国残留邦人等永住帰国者
g ホームレス
h 住居喪失不安定就労者
i 生活困窮者
(3) ハローワーク・紹介事業者等に提出された求人に対して、ハローワーク・紹介事業者等の紹介により雇い入れること
※元々雇用の予定があった人を対象にすると不正受給となります。
(4) 原則3ヶ月のトライアル雇用をすること
(5) 1週間の所定労働時間が原則として通常の労働者と同程度(30時間(上記(2)d、gまたはhに該当する者の場合は20時間)を下回らないこと)であること
このほかにも雇用関係助成金共通の要件があります。
詳しくはこちらの記事で解説しておりますので合わせてお読みください。

支給額
- 本助成金の支給額は、支給対象者1人につき月額4万円です。
※対象者が母子家庭の母等又は父子家庭の父の場合、1人につき月額5万円となります。 - ただし、次のイまたはロの場合、その月分の月額は、それぞれに示す期間中に実際に就労した日数に基づいて次のハによって計算した額となります。
イ 次のa~bのいずれかの場合であって、トライアル雇用に係る雇用期間が1か月に満たない月がある場合
a 支給対象者が支給対象期間の途中で離職(次の(a)~(d)のいずれかの理由による離職に限る)した場合
離職日の属する月の初日から当該離職日までのトライアル雇用期間中に実際に就労した日数
(a) 本人の責めに帰すべき理由による解雇
(b) 本人の都合による退職
(c) 本人の死亡
(d) 天災その他のやむを得ない理由により、事業の継続が不可能になったことによる解雇
b トライアル雇用の支給対象期間の途中で常用雇用へ移行した場合
常用雇用への移行日の前日の属する月の初日から当該移行日の前日までのトライアル雇用期間中に実際に就労した日数
ロ 支給対象者本人の都合による休暇またはトライアル雇用事業主の都合による休業があった場合
その1か月間に実際に就労した日数(ただし年次有給休暇等法令により事業主が労働者に対し付与を義務付けられている休暇は就労した日数とみなす)
ハ 支給対象期間中のある月において、支給対象者が就労を予定していた日数に対する実際に就労した日数の割合(A)が次表の下記の場合、当該月の月額は下の表の通りになります。



留意事項
- 派遣求人を「トライアル雇用求人」とすることはできません。
- トライアル雇用求人の選考中の人数(新型コロナウイルス感染症対応トライアルコースの対象となる方も含みます)が求人数の5倍を超える場合は、それ以降のトライアル雇用としての紹介は行いません。
- 求人数を超えたトライアル雇用は実施できません。
- トライアル雇用対象者の選考は、なるべく書類ではなく面接で行うようにしてください。
- トライアル雇用の途中で無期雇用へ移行した場合や自己都合で離職した場合は、支給申請期間も変わりますので、速やかに紹介を受けたハローワークへ連絡してください。
- トライアル雇用開始日から2週間以内に、対象者を紹介したハローワークに実施計画書を提出してください。
- 実施計画書を提出する際は、雇用契約書など労働条件が確認できる書類を添付してください。
- 助成金を受給するためには、トライアル雇用終了日の翌日から起算して2か月以内に、事業所を管轄するハローワークまたは労働局に支給申請書を提出する必要があります。申請期限を過ぎると助成金を受給できなくなりますので、ご注意ください。
新型コロナウイルスの影響で休業した場合、特例的にトライアル雇用期間を変更できるようになりました
トライアル雇用期間中に新型コロナウイルスの影響で休業した場合、休業中の勤務予定日を除いて、終了予定日の翌日以降に追加することができます。ただし、すでにトライアル雇用を終了している場合は対象となりません。
トライアル雇用期間を変更するには、以下の要件を満たす必要があります。
- 令和2年4月1日~令和4年3月31日の間にトライアル雇用期間が含まれていること
- 上記期間中に新型コロナウイルスの影響で対象者を休業させたこと
- 休業により、対象者の適性の見極めが難しくなったこと
- トライアル雇用期間の変更について労働者との合意があること
※変更前後でトライアル雇用期間中の合計勤務日数が同じになるようにしてください。
※変更する場合は、「トライアル雇用実施計画書変更届(新型コロナ特例)」を提出する必要があります。
変更例

今後の採用の動向について
コロナ禍で業績が落ちてしまった企業が多い中、雇い止めを行っている企業は数多いです。
経済を回すためにも、採用活動を活発化させる企業があることも事実であるます。
例えば、フードデリバリーサービス事業で有名な出前館は2023年の黒字化を目指して配達員を積極的に募集しています。
飲食だけでなく、物流、IT、コンサルタントといった業種での採用が活発化しています。
特定の業種で採用が活発化しており、助成金を活用することができるという観点からも、たとえコロナ禍であったとしても仕事ができる優秀な人材はあっという間に採用されていってしまうでしょう。
最後に
能力のある人材はすぐに採用されてしまいます。
失業率が上がって、優秀な人材が市場に出回っている今、そして、国が助けてくれる今、ハローワークを通して雇用を行ってみませんか?きっと御社のために一生懸命働いてくれる人が見つかるはずです。
ハローワークへの求人の出し方がわからない方は お問い合わせフォームからご質問していただくか、弊社HPより直接お申し付けください。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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