第2回人材不足解決の4つのポイント~労働基準監督署の調査から見える背景~

 前回に続き、この記事では中小企業経営者向けに人材不足解決の4つのポイントを説明します。又、昨年度の労働基準監督署の調査内容を分析し、労働基準監督署の調査から見える背景について探っていきます。

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令和以降の労働時間

 令和の働き方改革により労働時間管理が企業経営の一丁目一番地となりました。労働時間管理において平成以前と令和以降の最大の違いは残業時間に上限が設定された事です。違反すると6か月以下懲役又は30万円以下罰金の罰則がある事も忘れてはいけません。残業を行う場合は36協定の届出が前提となる事は以前から変わりません。1日8時間1週40時間を超える労働時間は原則残業となり残業の上限時間は月45時間年360時間です。年360時間は月平均30時間になりますので毎月45時間の残業を行うと年360時間の上限を越えてしまい違法な時間外労働となります。

36協定特別条項(臨時的特別な事情)

 年360時間の上限は月20日出勤の会社ですと1日平均で1時間30分になります。9時出社18時退社が定時とした場合19時半が平均退社時間の限界になります。長時間残業が常態化している企業や部署にとってこのインパクトは相当なものでしょう。ところで残業には常態的な残業と非常態的な残業があります。例えば普段無いような事が起こり突発的に緊急対応が必要な仕事を行うため残業した。このような場合は非常態的な残業になります。令和の働き方改革では非常態的な残業を行う場合の労働時間については例外が認められています。実務では36協定の特別条項(臨時的特別な事情)を届け出ます。非常態的残業の上限時間は単月100時間未満(99時間以下)年720時間以下となっていますが主な注意点が3つあります。1つ目は非常態的残業で上記の上限時間以内といえども、1年(12月)のうちで45時間を超える事が出来る月は6回までルールや2か月平均3か月平均4か月平均5か月平均6か月平均80時間以内ルールなどのその他のルールも管理する事、2つ目は過労死ライン(月残業80時間)など使用者責任のリスク管理と労働者の健康管理です。3つ目は賃金不払い残業などサービス残業の管理です。サービス残業で訴えられた会社が社員一人当たり1千万円程度の不払い残業代を支払う事などは珍しい話ではありません。

調査で発覚する違反で一番多いもの

 昨年度の全国労働基準監督署の調査結果において一番多かった違反は違法な時間外労働です。是正勧告で済んでいるケースが多いと推測しますが違反した場合は懲役又は罰金(過料では無い)も有り得るので企業経営者や労務管理責任者の労働管理責任は重大です。さてそれでは違法な時間外労働とは何なのか。違法な時間外労働とは36協定の問題です。36協定の問題は3つあります。1つ目は36協定を労働基準監督署に届出せずに残業を行っている事です。36協定を届け出していないと残業は違法になります。2つ目は36協定の届出はしているが届出している内容と実態が異なっている事です。例えば36協定で届出している上限時間を超えて残業を行っている場合です。36協定で届出している内容と相違がある残業は違法になります。3つ目は36協定の手続き方法が間違っている事です。36協定の手続き方法が間違っていれば36協定は無効になりますから残業が違法となります。36協定は会社と従業員代表者間の残業についての合意書になります。残業はそもそも会社の一存や権限だけでは従業員にさせられないし逆に言えば従業員も会社と合意しないと勝手に残業をすることはできません。その為労働基準監督署の調査では提出済36協定の労働者代表者をどうやって決めたのか、この点も調べます。労働者代表者の正しい決め方は選挙になりますが、従業員の人数や支店の数などにより相当な手間と時間を要する事があります。この点大企業は自社内にある労働組合と手早く36協定を結んでいます。中小企業もこのような大企業の手続き方法が参考になる場合があります。

日本流と欧米流

 余談ですが日本の労働組合は企業内(企業毎)にあるのが主流で、欧米の場合は職種・産業別(違う会社の社員達が職種や産業単位で1つになっている社外労働組合)にまとまっています。私はどちら派でもありませんが昨今の日本では欧米のジョブ型雇用や職務給スタイルに変革する動きが有ります。今後日本のジョブ型雇用や職務給がどのように発展するのか興味深い反面、労働組合のスタイルが異なる欧米流が日本になじむかどうかには懐疑的に見ています。欧米流の社外労働組合がどのように作用した結果欧米流のジョブ型や職務給が生まれたのか。その点の背景も踏まえて日本流のジョブ型・職務給に取り組む事が成功のポイントになるでしょう。

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